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アイデアを生みだせる人。生みだせない人。

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ジェームス・W・ヤング 「アイデアのつくり方」は、1940年に出版され、世界中で売れ続けている名著です。発売から75年も経っているわけだけど、未だに多くの日本の書店で平積みになり、WEBの記事でよく話題になったりしている。なぜそれほど長く、広く受け入れられているのか。その理由はきっと3つあります。もっとたくさんあるかもしれないけど、とりあえず3つあります。

1. アイデアを生みだすための「本質的かつ基本的なこと」が、きちんと書かれている数少ない一冊であること
2. アイデアを生みだすという行為(技能)はいつの時代も、どの社会でも、変わらずに必要とされているということ
3. 文明や技術が発達しても、アイデアを生みだすという技能は大して進歩していないということ
(追記 4.価格が安いこと)

アイデアを生むという行為は、とても原始的なものであり、かつ、そのメカニズムはほとんど解明されていないように思います。科学や技術が進化しようと、アイデア論はそれほど発展しているようにも見えない。少なくとも日本においては、この分野の「教育」が発達しているとはまったく思えない。

だけどこの課題だらけの社会で働くうえで、
それはとても大事な能力となります。

というわけで、この「アイデアのつくり方」や、広告会社の制作局で学んだ、「アイデアを生みだせる人、生みだせない人の違い」をまとめてみようと思ったわけです。


1. アイデアを生み出せる人は、
アイデアを生み出せると、信じている。

これが一番大きな別れ道だと思います。アイデアを生みだせると信じている人というのは、「どんな物事にも、どこかに解決策があるはずだ」と信じています。ある意味では楽観主義者なのかもしれません。たくさんのケースにおいて、考え抜いた結果、新しいアイデアが生まれることを体験し、その感覚が身体に蓄積されています。それが自信となり、どんな案件が来ても、「きっとできるはずだろう」と信じることができるだと思います。そして、アイデアを生み出せない人は、「どうせ無理だ」と心のどこかで思っています。


2.アイデアとは、
既存の物事の組み合わせでしかない。

これは、「アイデアのつくりかた」で最も強く語られている言葉のひとつです。アイデアとは、別に「完璧に新しいもの」というわけでもありません。既存の物事の組み合わせでかまわない。というよりかは、組み合わせ以外に人間の脳が物事を考えるなんて不可能です。既存の2つの物事は、一見無関係に見えます。普通は結び付けられない回路を結ぶことでアイデアに変わります。ただそれを意図して行うのはとても難しいものです。「脳の中に起きた偶然」のようなものです。でも考え抜くと生まれるタイミングが必ずあります。その「アイデア=既存の物事の新しい組み合わせ」は、何かしらの問題を解決したり、物事を前に進めたりしてくれます。アイデアを生み出せない人は、アイデアとは、何か「全く特別な新しいこと」を思いつくことだと勘違いしています。


3.アイデアを生み出す人は
未来の話をする。

アイデアとは、根本的に未来の話です。過去にすでにあるものはアイデアではなく、ケース(事例)です。「過去の事例」をもとに考えようとする人が大勢いますが、数字や過去の事例を調べることからスタートすると、大抵いいアイデアは生まれません。

「アイデアは既存の物事の組み合わせ」とありましたが、それは過去の事例の寄せ集めということではなく、もっと「離れた事象をつなぎ合わせる」ことです。脳の中で、全く無関係に見える物事がどこかで結びつくようなことです。過去を参考にするだけでは、未来は生まれません。ケーススタディをただ眺めていても、アイデアは降ってきません。アイデアを生み出す人は、未来を見て、未来の話をします。もちろんそこに前例は存在しません。アイデアを生み出せない人は、過去の話ばかりします。


4.アイデアを生み出す人は、
息抜きを大事にする。

アイデアは、だいたいにおいて、根詰めて考えても生まれるものでもありません。それが生まれるものは、お風呂だったり、トイレだったり、走っているときだったりします。「既存のものごとの組み合わせ」は、全く離れた事象が偶然結びつくことなので、理屈的に順序立てて考えていても、なかなか生まれません。アイデアを生み出す人は、会議室にこもっていたり、机にしがつみついているだけではでない生まれないことを知っています。真剣に考えたあとは、休憩を入れるし、散歩にもでかける。アイデアを生み出せない人は、真面目に考えすぎていることが多くあります。


5.アイデアを生み出す人は、
自分の中にアイデアを見いだす。

例えば、あるアイデアを考える時に、「ユーザーにヒアリングしよう」という人がいます。しかしそういった事前の調査やヒアリングから、いいアイデアが生まれることは稀です。なぜならユーザーはアイデアを持っていないからです。よくいう話で、汽車が生まれる前にユーザーに何が欲しいか聞いたところで「もっと早く走る馬がほしい」と答えるものです。汽車というアイデアを普通の人は持ち得ないものです。もちろん、ヒアリング情報が役にたつことはあります。でも本当にアイデアを生みだす人は、アイデアを自分の外に求めたりはしません。それは自分の内側から生み出さなければならないということをわかっています。アイデアを生み出せない人は、どこかにアイデアが落ちていないかとキョロキョロしています。


6.アイデアを生み出す人は、
バカにされること(否定されること)を、恐れない。

アイデアは「いま社会に存在しないもの」だから、「そんなの無理に決まっている」と否定され、笑われることがしょっちゅうあります。バカにされたりすることは日常茶飯事です。しかしアイデアを生みだす人は、そういう否定をされることに慣れています。「そう思われても仕方ないよな」ということもわかっている。だから否定されても、バカにされても(あまり)気にしません。アイデアを生み出せない人は、誰かに小馬鹿にされることを気にしすぎるものです。


7.アイデアを生み出す人は、
アイデアを形にするほうが、
難しいことを知っている。

ここまで読んでくれた人の中で「アイデアマンの適当なアイデアに振り回せれる見にもなってくれ」という人がいるかもしれない。しかしそう思うのだとしたら、その人は本当のアイデアマンではないのだと思います。いいアイデアマンは、自分のアイデアに責任を持ちます。実行するところまで含めて、計画に落とし込むことができる人です。机の上でアイデアを言って、「あとはよろしく」みたいな人はただの面倒な人です。アイデアは、最初はただの種のようなもので、土を耕し、水をやり、きちんと時間をかけて、ようやく木々になっていきます。もちろん、種であるアイデアは重要です。しかし「育てる」ところの苦労さ、大変さを自分でできないような人は、いいアイデアマンではありえません。アイデアを生み出せない人は、言って終わりだと思っています。

本

しかしただビジネスをやるという意味では、アイデアなんて出さなくてもうまくいくこともたくさんある。というか、そちらの方が多いかもしれない。それは誰かの真似をしまくればいいことがあります。あのお店が成功したから、あのお店をそっくりパクってやろう、と言って成功している例を沢山知っている。それは生き方の問題だから、とやかく言える話ではありません。

だけど、アイデアを生みだそうとする人が、もっと増えてほしいと思います。

なぜならフリスクのCMにあったように、
いいアイデアは、いまある社会をちょっと前進させる。
いいアイデアは、人の暮らしを豊かにし、人を笑顔にする。
だから、いいアイデアを生み出す人は尊敬される。

そういう人がひとりでも増えていけば、きっと社会もちょっとずつよくなるのだろうと思います。

それでは最後にフリスクの名CM「Hello Idea」を流して。

アイデアを生みだす、考えるための教育が、もっともっと普及してほしいと願っています。割と切実に。

そのときの「教科書」となるのは、やっぱりこのジェームス・ヤングの「アイデアのつくり方」なんだろうと思うのです。


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牧野圭太 Keita Makino 1984年生まれ 。コピーライターが読書を通して考えたことを書いていきます。テーマはことばやデザインやその他もろもろ。
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